第13章 日本帝鬼軍
この状況で後ろを向く理由は敵しかない。
嫌な予感を感じてフェリドの視線を追いかけた。
「!」
目に入ったのは遠くからこちらを狙う銃。
それに私達が気づいた瞬間、逃げる隙を与えない様に銃口から2匹の虎が放たれた。
あれも鬼呪装備なのだろう。
フェリド
「くそ」
でもそのスピードは吸血鬼にとってはまだ遅い。
フェリドとお兄ちゃんはあっという間に飛んで逃げた。
これでこの場に残っているのは私とオールバックの男。
私も2人と一緒に逃げると思ったのだろう。
オールバックの男
「…!?」
でも私が選んだのは違う選択。
こちらを気にしていない男の懐に、躊躇する事なく飛び込んだ。
男は身を固くするが、怪我のせいで私を突き飛ばせない。
だから私は男の鼓動を聞きながら鬼呪装備の攻撃をやり過ごした。
フェリド
「ふー、助かった。君の忠告がなかったら狙撃で死んでたかも」
これ以上虎の狙撃はないと踏んだフェリドが男に声をかけるが、頭上の彼は何も言わない。
じっとして動かないのだ。
フェリド
「おっと、これはこれは…」
でも男にばかり意識を向けてはいられなかった。
フェリドの言う通り、周囲を囲む様に人間の気配が増えてる。
このままだと私は逃げれなくなるだろう。
だから早く用を済ますべきだ。