第13章 日本帝鬼軍
フェリド
「また君ら人間お得意の人体実験?」
「え…、あれが人間…」
クローリー
「喋るなって」
フードを深く被らされながらそう言われて思い出す。
急いで移動した際に脱げかかっていたフードだが、顔は見えていなかったはずだ。
ただ声を出してはいけない事をすっかり忘れていた。
「………」
この状況で話せないのは辛いが、わざわざ言うという事はかなり重要なのだろう。
慌てて口を抑えて頷く。
その様子を見て私が黙るのを確認したフェリドは、話を戻した。
フェリド
「正直怖くなるよ。おまけに君らはいつもそれを制御できないし」
フェリドの視線を追いかけ、目を向けた方向を見る。
視線の先にいたのは化け物となった人間。
その化け物は先程お兄ちゃんと対峙していた司令塔の女へと向かっていた。
あれは仲間のはずだが、もう敵と仲間の区別すらついていない。
そしてそのまま化け物は女へと斬りかかった。
司令塔?
「…っ!!」
声にならない悲鳴が聞こえた後、静かになる。
斬られたかと思ったが、何か様子がおかしい。
吸血鬼
「くっ…」
「…?」
どうやら1人の吸血鬼が女を庇った様だった。
何故吸血鬼が人間を庇うのか。
理解ができずにフードを少し持ち上げてもっとよく見ようとする。
クローリー
「こーら」