第13章 日本帝鬼軍
2人が耳に入らない距離まで離れたと思われたタイミングで、お兄ちゃんは話す様促す。
「あの人間の中に見た事ある人がいた気がする」
クローリー
「…そうなるよな」
それを聞いたお兄ちゃんの顔が僅かに曇った。
なぜそんな顔をするのか疑問に思うが、お兄ちゃんはすぐに表情を戻してしまう。
クローリー
「…どいつ?」
「えっと…」
名前は当然分からない。
上から見ていた間ずっと見ていたあの人間をどう言えば分かりやすいかを考える。
「お兄ちゃんが1回近寄った人、じゃあ分からないよね」
クローリー
「…やっぱりあの男かな」
苦笑を浮かべながら呟いた言葉に首を傾げる。
わたしが見覚えある人間は男ではない。
「女の人だよ」
クローリー
「ん?益々分からなくなった」
余計に混乱させてしまった。
近寄った人と言ったせいで最後にお兄ちゃんが話した男と勘違いしたのだろう。
「確か鎌みたいな武器使ってた」
クローリー
「ああ、あの司令塔の子か」
思ったよりも早く分かってくれて助かった。
誰か分かったからか、お兄ちゃんの顔にもいつも通りの笑顔が戻っている。
クローリー
「その子と会ったことあるの?」
「んー、ある様な気もするけど…」
地下都市に来る前の記憶がない為、思い出せる可能性はほぼない。
でも何かが引っかかっている。