第13章 日本帝鬼軍
彼らが去っていった方向を見ながらあの小柄な吸血鬼の事を考えていた。
フードで顔は見えなかったがあの声は聞き覚えがある。
優一朗
「…アリス」
あの声を聞いてから頭をよぎったのは今でも大切に思っている1人の少女だった。
でも彼女はもういない。
4年前、俺を庇って目の前で散った幼い命。
そのアリスが生きて、しかも吸血鬼といる事は有り得ない。
優一朗
「…甘えるな」
生きているなんて都合の良い事があるわけない。
とにかくアリスとミカ、そして孤児院の皆の為に吸血鬼を殺し続ける事が俺の生きる意味だ。
だから甘えるんじゃないと自分に言い聞かせた。
*****
(ミカside)
新宿の前線で僕はフェリドと共に待機していた。
フェリド
「あは、これは見られてるねぇ」
ミカ
「見られてる?」
僕を試す様に呟かれた言葉。
辺りを見渡すが、何の気配も感じれない。
ミカ
「…どこから?」
フェリド
「ところでミカくん」
彼の言う存在が分からないので質問をしたが、話を変えられてしまった。
つまり答える気は無いという事だ。
フェリド
「君は血を飲まなくていいの?」
僕達の周りには多くの吸血鬼が人間の血を吸っている。
辺りに充満する血の匂い。
当然渇いて仕方ない。
でも拳を握り、何とか耐えていた。