第12章 吸血鬼の生活
クローリー
「ああ、珍しく貴族も投入される事になったんだよ」
「後で任務の内容教えてね」
クローリー
「アリスがいい子で待ってたらな」
茶化すように言うとお兄ちゃんは立ち上がった。
もう時間なのかもしれない。
「いってらっしゃい」
お兄ちゃん程の実力ならどんな任務でも心配は全く必要ない。
彼の背中を笑って見送ると軽く手を上げて出て行った。
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(クローリーside)
アリスの様子を見てフェリドくんの屋敷を出る。
今回の任務は例の実験をしている人間達がいるから世界の平和と秩序を安定させる為に潰すらしい。
そして任務には初参加の吸血鬼が何人か参加する。
だから僕達貴族も駆り出される事になった。
クローリー
「ん?」
土砂降りの雨の中目的地を目指していると、かなり聞き取りづらいが言い合いをしている声が聞こえる。
クローリー
「やれやれ」
近づくにつれて大きくなる声に普段なら関わりたくない所だが、今のところ僕より上の階級の吸血鬼がいないから止めに行かないといけない。
クローリー
「…わざわざ東欧まで来て騒ぐなよ」
上官
「おい!ちゃんと話を聞け、新入り!!」
1人呟きながら様子を見るとこれは言い合いではなく一方的に怒鳴っている事に気づいた。