第12章 吸血鬼の生活
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そんな穏やかな日から2年。
つまり吸血鬼になってからもう2年も経った。
今でもクローリーの血を飲み続けているので身長も伸び、言動も年齢に伴って落ち着いてきた。
無邪気な反応を返さない私にフェリドはつまらなそうだが構うのはやめない。
そして吸血衝動も2年前と変わらず落ち着いている。
普通人間の血を飲まない吸血鬼は人間を見ると食欲が湧いてくるらしい。
でも私は人間の近くを通っても何も思わなかった。
その理由をフェリドは特殊だからかもしれないと言っていたのだが、今でもその意味が分からない。
「………」
カレンダーを見つめながらこの2年間の事を考えていたが、今日の日付に書いてあるメモを見て思い出した。
「お兄ちゃん」
クローリー
「ん?」
返事を返すクローリー。
私はフェリドに言われてクローリーの事を1年程前からお兄ちゃんと呼ぶようにしている。
そっちの方がフェリドの血で吸血鬼化したと勝手に思ってくれるから都合が良いらしい。
「今日は任務に行くんだよね」
カレンダーにはお兄ちゃんが任務と書いてあった。
貴族が任務に出るのはかなり珍しい。
フェリドなど指揮を執る貴族なら参加する事もあるが、クローリーに収集がかかるのは滅多に無いのでメモしておいたのだろう。