第12章 吸血鬼の生活
この屋敷にいたと思われる金髪の男の子。
それで確信した。
「…ミカだ」
ミカは吸血鬼になり、生きている。
他の吸血鬼に興味が無いクローリーにとってミカの事はどうでもいいはずだ。
なのに教えてくれた。
私は感謝の気持ちを込めてクローリーに頭を下げる。
「クローリーありがとう」
クローリー
「いえいえ」
彼はそんな私を見て優しく笑うと、頭を撫でてくれた。
「………」
私も嫌がること無くそれを受け入れる。
人に触られるのは嫌いだが、心を許している相手に撫でられるのは好き。
こうしていると前まで撫でてくれていたミカと優ちゃんの事を思い出せるし、感情が読みにくいクローリーの優しさを感じれるから。
クローリー
「嬉しそうだね」
「うん」
クローリーに撫でられると不安な気持ちが軽くなり、心が暖かくなる。
目を閉じて手の感触に意識を集中していると彼が笑ったのを感じた。
「…?」
不思議に思い目を開く。
「あ…」
クローリー
「ん?」
声が漏れた私に反応したクローリー。
その表情はとても優しくて、いつもは見る事ができない顔だった。
声が漏れてしまうほど驚いた私は、もう見れないかもしれないその表情をじっと見つめるのだった。