第11章 葛藤
クルル
「そう?でも血を飲まなければ待っているのは死じゃなくて醜い鬼への変貌」
だから人間の血を飲め、そう続けようとしたクルルの言葉を遮って僕は叫んだ。
ミカ
「僕はお前らになるつもりはない!!」
クルル
「……それなら」
何を言っても飲む気がない事が分かったのか、クルルは笑みを消して自分の手首を切った。
勢い良く溢れ出た血が下で座り込む僕にかかる。
ミカ
「…っ?」
クルル
「人間ではない私の血を飲む?」
傷口から流れて溜まっていく赤。
血に飢えている今、この光景は毒でしかなかった。
ミカ
「くっ…」
飲みたい、飲まなきゃいけない。
体がそう告げている。
それでも飲まずに必死に耐えていた。
でもクルルの一言で状況が変わり出す。
クルル
「逃げたお友達と会いたいんでしょ?」
ミカ
「…優ちゃん」
なんとか逃げる事ができた優ちゃん。
他のみんなが死んだ今、優ちゃんには僕しか残っていない。
だったら血を飲んででも生きないといけないのではないだろうか。
クルルの言葉にグラグラと気持ちが揺れる。
そんな僕にクルルはトドメを指した。
クルル
「フェリドに連れていかれたあの子にも会えなくなるのよ」
ミカ
「え…?でもアリスは死んで…」