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罪と罰【終わりのセラフ】

第11章 葛藤




(ミカside)


吸血鬼になって数日経つが、僕は未だに血を飲んでいない。
そんな僕にクルルは子供の死体を用意した。


クルル
「さあミカ、この人間の血を吸いなさい」


目の前に横たわる少女の死体。
その子の目は見開かれ、最後の最後まで恐怖の中にいた事が容易に想像できた。


ミカ
「……っ」


その表情を見て顔を顰める。
クルルもそんな僕に気づいているのだろうが、気にせず手を差し出してきた。


クルル
「血を飲んだら細胞は動きを停止する。さあ、我らの同胞に…」

ミカ
「嫌だ!僕は吸血鬼になるつもりはない!」


クルルは声を荒らげる僕を見て、面白そうに笑う。
その顔はあまりにも無邪気で無情だった。


クルル
「そんなこと言っても体は我慢できないでしょう?」


少女の死体の横を通り、こちらへと向かって来る。
近づいて来る彼女の足元を見ていると、僕の顎を掴んだ。


クルル
「全身が痛くて渇いて渇いて仕方ないはず。我慢せずに欲望のままに飲みなさい」

ミカ
「うるさい!!」


掴まれた手を振り払い、睨みつける。
クルルがその行動に驚いたり、怒った様子は無い。
むしろ楽しそうに僕を見ている。


クルル
「じゃあこのまま死ぬ?」

ミカ
「…吸血鬼になるくらいなら死んだ方がいい」
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