第11章 葛藤
そんな私の気持ちを察して、許してくれるクローリー。
「…は…んっ」
少し躊躇したが、言葉に甘えて恐る恐る牙を立てた。
クローリー
「……っ」
牙を立てた瞬間に痛みを感じたのか顔を歪める。
だがそれも一瞬の事で、様子を伺うと優しく微笑んでくれた。
*****
「…ふぅ」
夢中で血を飲んでいた私はようやく満足して口を離した。
そこでふと我に返り、クローリーを見る。
「あ…」
クローリー
「渇きは収まった?」
「…うん」
クローリーは少し疲れたような顔をしていた。
私がたくさん吸ったからだ。
「ごめんなさい…」
クローリー
「いいよ、最初は加減出来ないものだ」
謝る私に笑いかけるクローリー。
そして腕の血を拭き取り、捲っていた袖を直した。
クローリー
「これから何回も経験すればいつか慣れる」
「…うん、ありがとう」
私の頭を軽く撫でてくれる手と優しい言葉に自然と笑顔が浮かんでくる。
そんな私を見てもう大丈夫だと判断したのだろう。
クローリー
「またくるよ」
そう言って彼は出ていった。
1人なり静寂に包まれる部屋。
特にやる事が無いので、私はベットに倒れ込む。
「はぁ…」
気が抜けたのか、深いため息が零れ落ちた。
この状況に頭が追いつけない。
これからどうなるのか、そんな事を考えながら枕に顔を埋めた。