第4章 第3話
「 すみません、生ビールください 」
徐々に増えていく客をかき分けて愛莉はBarカウンターへ身を乗り出した。
店員「 …愛莉? 」
カウンターにいる店員は愛莉を見た瞬間、ギョッとした顔をした。
「 え…… 」
愛莉も店員に気づいたがすぐに知らん顔をした。
店員「 愛莉だよな? 」
両手に入れ墨が入っていてオールバックに固められた髪型、黒く焼かれた肌…
いかつい風貌の店員に小田切と吉岡は目が点になっていた。
「 ひ、人違いですよ 」
愛莉は目を泳がせながら否定する。
店員「 いや、お前絶対愛莉だろ?
今まで何処にいたんだよ!なぁ!? 」
店員は愛莉の腕を掴んだ。
「 ちょ、ちょっと!! 」
愛莉は慌てて抵抗するもなかなか逃れられない。
『 グイッ 』「 人違いですよ、店員さん 」
しかし何者かによって店員から愛莉は解放された。
「 山内さん… 」
店員「 痛っっ!何なんだよ、てめぇ!! 」
山内は掴んだ店員の腕を捻ったまま離さなかった。
山内「 彼女はあなたの思う人とは違うんで、人違いもそのへんでやめてもらえます? 」
.