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連れ立って歩く 其の四 和合編 ー干柿鬼鮫ー

第6章 空の青さを知れど海の蒼さを知らず


鼻にシワを寄せて波平が咳払いする。

「殊に生の大蒜の臭いはどうにも鼻について好かないのです」

「韮は好きなのににんにくは嫌いなんスか」

春先、磯で波平の作った韮と野蒜の蕎麦を食べたシカマルは、呆れ顔をした。

「似たようなモンでしょうに」

そう言えばこの男が焼肉屋で肉を食べているところを見た事がないと思いながら、波平の辟易した顔を見る。タレに入っているにんにくが苦手だったのか。

「にんにくがダメなんて吸血鬼か、おっちゃん」

真顔で言って波平から距離をとったナルトの頭を自来也が叩く。

「ぁだッ、何すんだよ、このエロ仙人ッ」

「下らねえ事言っとらんで、オメェもお茶を淹れて来い」

「叩くこたねえじゃん!何だってばよ、全くもう!」

「大体オメェがラーメンなんて言い出すからこんなグダグダになっとんじゃ。いいから黙って奈良の倅とお茶を淹れて来い」

「お茶くらい俺ひとりで淹れられますよ」

あー、メンドくせぇ。

出来ればなるべく関わり合いにならずとっととうちに帰りたいシカマルが自来也を止める。

「シカマル、ナルトも連れて行け。波平、お前は飽くまで客分だ。大人しく座っていろ」

綱手がハキハキと言い渡した。

「出過ぎました。失礼。じゃあ、すまないが奈良くん」

「はあ、構いません。いいっスよ」

波平とシカマルのやり取りに綱手が苦笑する。

「仮にも磯影を名乗るお前に給茶させる訳にもいくまいよ」

「磯影?」

ナルトが波平を見た。ついでに伊草も。

「ほう…」

伊草のらしからぬ低い声。

「磯影って」

続いてナルトの邪気のない声、青く丸い目が波平を凝視した。

「おっちゃん、磯の里の影か?その割にあんまし強そうに見えねえな!」

「ナルト!」

綱手の叱責に首を竦めながらも、ナルトは波平を興味津々で観察している。

「でもさでもさ、影って事は強ぇんだろ?」

好奇心を隠すことない率直で若い声。
波平は茫洋とナルトを見返して曖昧な顔をした。

「残念ながら、磯では強くなくとも影になれるのですよ」

この子が火影になると吐いた子か。
素直で真っ直ぐなのに陰があるように思う。素直で真っ直ぐだからこそか?直情さから臭う獣の気味?
いや、それはこの子に失礼だな。直情ではあるが獣の気味はまた別。…何だ読めないな。若さに中てられたか?
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