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連れ立って歩く 其の四 和合編 ー干柿鬼鮫ー

第2章 木の葉


「待ってくれ。その先を話すなら俺は席を外す。それは俺が知る必要のある話なのか?聞かなきゃならないならその理由をさっさと言ってくれ。無闇に面倒に巻き込まれるのはごめんだ」

離れたテーブルから目線を感じる。他の連中がこっちを気にしだしているようだ。

何故こんなところでこんな話をするんだ。

シカマルは強いて振り向かずに波平を睨み付けた。
アスマとカカシも波平に目を向ける。波平は半眼を一度閉じ、何事か沈思した後、三人を再び見渡した。

「姉は磯を根底から建て直す気でいる。地に根を張り、力を蓄えた強い磯を造るつもりなのだ。磯が磯足る為に本草に優れた里人は必須、明るみに出ぬ形で薬事場から櫛の歯が欠けるように磯人の失せる事がないか、改めて気を配って欲しい。こう言えば君に同席願ったのもわかるだろう?姉は草の財力を利用して色々と画策している。世話役の君にもこの件について知って置いて欲しい訳だよ」

「…木の葉に草の者が現れる?」

草をよく知らないシカマルは、イメージが掴めずに眉をひそめた。それは一体、どれくらい深刻な事態なのか。草は強い里なのか?聞いた事もない。磯を知るまで興味もなかった里だ。ただ、財力のある里なのはわかっている。その財源が薬にある事も。

「けど、それと牡蠣殻さんがビンゴブックに載るのと何の関係が…」

言いかけたシカマルを波平が含み笑いで止めた。

「姉は私と牡蠣殻が添って子を生すべきだと思い詰めています。功者同士が生した子を新たな磯の礎にしたいらしい。己が不失の身のせいか、姉の功者への執着は深いのです。海士仁しかり、牡蠣殻しかり。功者をを手放したくないのですよ。だから生け捕って囲う気でいる。為蛍が死に、牡蠣殻がビンゴブックに載るまでのタイムラグは、牡蠣殻が姉の手元にいた期間を示しているのでしょう。…功者たる牡蠣殻がそこに留まったのも何らかの考えがあっての事…若しくは留まらざろう得ない理由があったのだと思います」

三人が妙な顔をして目を見交わす。波平は険しい表情で暫し物思いした後、しゃあしゃあと続けた。


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