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連れ立って歩く 其の四 和合編 ー干柿鬼鮫ー

第2章 木の葉


「そうして"くれない"か。お前じゃ鈍くて話にならない。是非」

「……波平。…何か怒ってる?…らしい気がするなぁ…。あの、何かごめんな?よくわからんが、えー、その、何か悪い、な?」

「怒ってなぞないよ。気にしないで"くれない"か」

「いや、もう凄い怒ってんだろ?めちゃくちゃ怒ってんだろ?……でも何で?」

「何で私が怒るんだ?お前は牡蠣と柿が食いたいんだろう?今度山のように送ってやるからな、紅のところに」

「ば、な、何言って…」

「全くだ。何を言ってるんだか、私は」

店員が運んできた一升瓶を受け取って、波平は溜め息をついた。

「幸せなお前が妬ましくなった。悪かった。許して"くれない"か」

事の成り行きを見守っていたシカマルが額に手を当て、カカシはにっこりする。

「波平さんは一回怒ると長いからなあ。アスマ、二人で席を移って"くれない"?」

「やーめろッ!すまん!悪かった!…しかし何がだ?」

「いやもういい。ちょっと黙ってろよアスマは」

見かねたシカマルが口を開いた。カウンターに身を乗り出して波平を見る。

「何の用だ、浮輪さん?」

「用がなきゃ来ちゃいけないですか?冷たいですねえ、奈良くんは」

のほほんと言う波平に、カカシが薄っすらと笑った。

「用もないのに顔を出すほど暇でもないでしょ?波平さん」

「まあ私は磯の雑用係ですからね」

湯呑みに手酌で酒を注ぎ、すうっとお茶の如く呑み下した波平が、アスマに笑いかける。

「二杯目も手酌かな?」

「…やっぱ怒ってんな?お前まだ牡蠣殻にこだわってんのか」

苦笑いのアスマが一升瓶を傾けて乱暴な酌をした。

「こだわると言うのかね、こういうのは」

アスマから酒を引き取って返杯しながら、波平も苦笑いする。

「白黒つけるだけが人を思う事じゃないだろう。そして矢張り、何がどうなるかは最後まで誰にもわからない。だったら私はただ自分に正直でいようと思うよ。気は長い性分だ。結果を待つ事にも慣れている。そういう訳だから、茶化すのは止して"くれない"か」

「…茶化したってんじゃねえけどな。気を付けるよ」


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