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連れ立って歩く 其の四 和合編 ー干柿鬼鮫ー

第16章 迎えに来たんだ。


ばっさり言うサソリを波平は不思議な思いで眺める。砂の隠居や我愛羅、カンクロウとテマリの顔が思い浮かんだ。目の前のこの男は、彼らと同じ砂の者。

「…あなたは…」

「ああ?」

煩わしげに眉を顰めるサソリに釣られ、波平は苦笑した。

砂に戻りたいと思う事はないのか。

愚問だ。
答えはないだろう。

出かけた問いを呑み込んで、波平はトンビの前を合わせた。

「失礼します。夜の明けきる前に戻りたいので」

「客分の身の上では不自由な事も多いでしょうねえ」

カブトが肩を擦りながらさも気遣わしげに言う。

「まああなた達は何処へ居ても主分にはなり得ませんものね。慣れたものなのかな」

「ええ、慣れたものですよ」

波平はふたりに背を向けたまま、振り向きもせずに穏やかに笑った。

「それが磯ですから」

足元で凍った土が鳴る。
自分の足で牡蠣殻を迎えに行く。

やっと。











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