第1章 秋風が吹く
.
おめでとうを言われたのは初めてで
.
.
結婚もしないで
.
シングルマザーになるあたしに
「大変ね」
.
って言う人はいても
.
.
おめでとうは誰も言ってくれなかった
.
.
「ありがとう」
.
涙が零れる
.
.
すぐに俯いたけど
.
きっと見られた
.
.
智「大丈夫…?」
.
「うん、おめでとうって言われたら何か嬉しくって」
.
智「そっか…もぅ泣かないでよ、どうしていいかわかんないでしょ(笑)」
.
.
背中をさすられて
.
.
優しい手の温もりに
.
涙が止まらなくなる
.
.
智「(笑)」
.
「(笑)妊婦になって涙もろくなったみたい」
.
智「そっか…そうゆうもんなんだ(笑)」
.
.
「智くん今更だけどこんな所にいていいの?」
.
智「ここね最近よく来んの、帽子被ってっと案外わかんないでしょ」
.
.