第2章 日常に融けゆく
「ねえ爆豪くん。二週間後雄英体育祭じゃない。私で良ければ練習相手になってあげようか?」
その発言に一番驚いていたのは隣にいるアキちゃんだった。
「は?日菜子、本気で言ってんの?」
「勿論。私冗談はあんまり好きじゃない。」
私の個性により立つことが出来ずその場に膝を着く爆豪くんと目線を合わせる為に私は屈んだ。それが癪に触ったのか、彼は私の胸ぐらを掴んだ。体内の酸素を奪われ呼吸もままならない状態でよく動けるもんだと感心する。
「テメェの指図は受けねえ。」
口ではいつもと同じように悪態つくけど、その言葉に力はない。
「そう?まあ、この大事な時期にただでさえ私に連敗続きなのに、更に真っ向勝負で負けっぱなしじゃプライドも傷付くよね。」
そう私が口にすると、彼の目の色が変わった。
「ああ!?お前なんかぶっ殺してやるよ!」
「じゃあ、放課後、これから二週間頑張ろうね。」
私がそう言えば話に乗ってくると思った。プライドの塊みたいな爆豪くん。ただでさえ私に負けっぱなしでプライドはズタボロだろう。そんな相手からそんな風に言われちゃ乗るしかないよね。
「私、どうなっても知らないからね。」
「ちゃんと手加減するから大丈夫だよ。」
「手加減だ!?ふざけんな!全力で────」
あ、しまった。爆豪くんがあまりにも元気なもんだから思った以上に個性を使い過ぎてしまった。酸素不足に陥った爆豪くんは気を失った。