第2章 日常に融けゆく
入学して初めて、校内に何者かの侵入を告げる警報が鳴った。時間は昼休み。慌てる生徒達。三年生にもなってみっともない。私は両手をパチンと叩いた。
「はい、皆静かに。落ち着いて。それでもヒーローを目指す雄英高校ヒーロー科の三年生ですか?」
笑顔でそう言った私の言葉に皆は落ち着きを取り戻した。ここにはプロのヒーローが沢山いるのだ。大丈夫。それにヒーローの卵とはいえど、ヒーローを志している者が沢山いる。
「ほら、ただのマスコミじゃん。」
アキちゃんがそう言って窓から正門の方を指さした。それに皆も安堵した様子だった。が、ただのマスコミが押し寄せてきたからといって、ここのセキュリティが突破出来るものだろうか。なんだか嫌な予感がした。
そしてその予感は見事的中。ヒーロー科一年A組USJでの授業中、敵からの襲撃を受けたらしい。それにより相澤先生と13号先生、オールマイト先生、そして一年生が一人大怪我を負ったらしい。その為、翌日臨時休校となった。
そして翌日、いつものように現れる爆豪くん。見たところ怪我はしてなさそう。一年A組の負傷者が爆豪じゃなかった事に少しホッとした。そして、敵との交戦を経験したせいか、いつもよりキレのある動き。まあ、彼の戦闘センスは毎日少しずつ成長を遂げていて、最初の何日かは軽々と避けていた攻撃だったが、今はそれを軽々とはいかなくなった。相変わらずポキャブラリーの少ない罵声だけど、彼の成長の早さには正直驚いていた。あと二年早く彼が生まれていれば私の良きライバルとなれたのかもしれないが、やはり二年の差は大きかった。