第6章 守りたいもの
そして迎えた入寮の日。一棟一クラスずつ。右が女子寮、左が男子寮。一階が共同スペースとされるその寮は流石最高峰。超豪華。一人一部屋ずつ与えられ、校舎までも徒歩五分。元々住んでた所も雄英と割と近かったけど、朝の弱い私からしてみれば大変ありがたい話だ。これで遅刻ギリギリまで眠れる。取り敢えず今日はどの学年も引越し作業ならしく、先生に言われた通り、荷物を運び、一日が終わった。夜になり夕食とお風呂を済ませ、私はハイツアライアンスへと向かった。爆豪くんと最後に話したのは、あの日爆豪くんの手を掴もうと手を伸ばした時が最後。それ以降、爆豪くんは警察の監視下にあって連絡も取れていなかった。だから、入寮の日に爆豪くんに会えるのを楽しみにしていた。どうしても伝えたい事があったから。
いざハイツアライアンスまで来たはいいが、勝手に他の棟に入っていいものなのか。そして入った所で何処が爆豪くんの部屋か分からない。左が男子寮だから左にいるのは確か。順番にドアをノックするしかないか。
「あれ?筒井さんじゃないですか?」
「あ、切島くん。」
外で私がウロウロしてるのが見えたのか、切島くんがドアを開け中へ入れてくれた。
「あ、切島くん。こないだは爆豪くんを助けてくれてありがとう。」
「めちゃくちゃ先生に怒られましたけどね!」
なんて言って切島くんは笑った。その表情から察するに、相当怒られたのだろう。相澤先生怒る時、ホント容赦ないもんな。
「私じゃ爆豪くんを助けられなかった。だから本当にありがとう。」
本当は私がこの手で爆豪くんを救いたかった。でも私にその力は無かったし、連れてってもらう為の条件を破る勇気も無かった。