第6章 守りたいもの
〝前線には立たない〟
それが私がここにいる為の条件だ。…どうして私はヒーローじゃないの?プロヒーローじゃない私は守りたい人を守る事も出来ない。自分の無力さに涙が零れる。悔しくて、悲しくて。爆豪くんにもう大丈夫だよって笑顔でそう言ってあげたい。でも、それは許されない。私はプロヒーローじゃない。だから、その言葉を口にする事を許されない。
「泣いてる暇なんてないぞ!」
私は目を擦って涙を拭いた。ここが片付いたら、エンデヴァーさんもオールマイトの後を追う筈だ。早く爆豪くんの所に行きたいのなら、ここにいる脳無を倒さなければならない。
「…っ、皆さん!援護します!」
悔しい。プロヒーローじゃない事が悔しい。爆豪くんを助けに行けない事が苦しい。爆豪くんを失ったらと思うと怖くてたまらない。
こんなにも爆豪くんの事を求めるのは…爆豪くんの為なら何だって出来るのは、多分、私が爆豪くんの事を好きだからだ。口が悪くて、いつも怒ってる爆豪くん。すぐに殴りかかってくるし、殺すぞって言う。でも、それは真面目な自分を隠す為。倒したい相手である私に時折見せてくれる優しさ。悪い所もいい所も全部引っ括めてありのままの爆豪勝くんが好き。だから私はこの手で爆豪くんを守りたい。この気持ちを伝えたらきっと爆豪くんはクソ女に守られてたまるか!って怒るんだろうな。