第6章 守りたいもの
「…嘘、でしょ?」
雄英大失態と言って取り上げられたニュース。一年生の林間合宿二日目。敵連合の襲撃を受け、敵のガスによって十五名の生徒が意識不明。重軽傷者十一名。行方不明者一人。プロヒーロー一名重症。一名が行方不明者。その行方不明者の生徒というのが、爆豪くんだった。そのニュースを見て私は体が震えた。夏休みが終わったら、またいつもみたいに…そう約束したのに。私はジーニアスを飛び出して雄英へと向かった。雄英の正門には大勢のマスコミがいた。それを掻き分け、校内へと入った。その人混みを掻き分ける最中、マイクを向けられたが、そんなものに悠長に答えてる暇なんてなかった。そして私が向かったのは会議室。会議室の扉を乱暴に開けると、校長先生をはじめとするプロヒーローである先生達が揃っていた。
「筒井くん、今はヒーローインターンの最中な筈だが?」
「…先生、爆豪くん助けに行くんでしょ?お願い。私も連れてって!」
私の言葉に馬鹿な事を!と声が上がった。私はプロヒーローじゃない。雄英ヒーロー科の生徒。ヒーローの卵。助けに行ける立場じゃない。そんなの分かってる。
「私の個性は絶対に役に立つ!」
大人数相手なら尚更。私の個性があればきっと役に立つ。私はそれだけの実力を兼ね備えてる。
「お願いします!どうか私を連れて行って下さい!」
私はその場に跪き、頭を下げた。
「爆豪くんをこの手で助けたいんです!誰かを助ける為にヒーローになりたいと思ってここに入学しました!大事な人を守りたいんです!お願いします!」
大きな声を出すのは好きじゃない。なのに、私は声を張り上げ、そう叫んだ。大事な人を守れず何がヒーローだ。私はそれをテレビから見るためにここに入ったんじゃない。この手で守る為に雄英に入ったんだ。