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【MHA】vs.

第5章 君がいないと退屈なんだ


『日菜子、ホントごめん!埋め合わせはかならずするから!』
「私の事は気にしなくていいから、フユくんについててあげてね。」


 本当にごめん。アキちゃんは再び謝罪の言葉を言って電話を切った。
 今日はアキちゃんと一緒に映画を見に行く予定だった。維兄に試写会のチケットをもらったのだ。けど、アキちゃんの弟であるフユくんが熱を出してしまったらしい。アキちゃんの家は父子家庭で、家の事は全部アキちゃんがしている。弟の世話もそう。だからフユくんを病院に連れていかないといけないらしい。残念だけど、仕方ない。楽しみだった映画の試写会だけに残念ではあるけれど、今日は諦めて帰ろう。上映が始まったらアキちゃんと一緒に来よう。チケットをくれた維兄には申し訳ないけど。


「あ。」
「あ"?」
「爆豪くんこんなとこで何してんの?」


 なんと、偶然にも爆豪くんに会ってしまった。私は嬉しくて爆豪くんに駆け寄ったが、爆豪くんは休みの日に私に会ってしまった事が不愉快だったのか舌打ちをした。


「テメェには関係ねえだろ。」
「休日なのに一人でお出掛けなんて、爆豪くん友達いないの?」
「テメェこそ一人だろうが!」
「私はアキちゃんと映画見に行く予定だったんだけど、アキちゃん来れなくなっちゃって。」


 そう言って、維兄から貰った試写会のチケットをひらつかせた。


「…!それ、」


 爆豪くんがそう言って私の手に持った試写会のチケットを凝視した。


「試写会のチケットだよ。今度始まるやつ。」


 その今度始まる映画というのが、一人のヒーローの全てを記した映画。そのヒーローというのは平和の象徴でもあり私達が通う雄英の教師であるオールマイトの映画。主演はオールマイト本人じゃないけど。


「見たい?」


 にやりと笑みを浮かべると爆豪くんは私の笑顔が嫌いなのか先程よりも険しい表情に。


「テメェがどうしてもって言うなら一緒に見てやらねえ事もねえぞ。」


 本当は見たくて堪らないくせに。けど、爆豪くんの性格上、私に見たいなんて言う訳が無い。こんな時まで負けず嫌い発動させなくていいのに。そう思ったけど、敢えてそれは口に出さなかった。だって、爆豪くんと一緒に映画見たいって思ったんだもん。


「爆豪くんと一緒に見たい。」
「そこまで言うなら仕方ねえな。」


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