第5章 君がいないと退屈なんだ
『皆位置についたね。それじゃあ今から雄英高三年期末テストを始めるよ。レディイイ──…ゴォ!!!』
リカバリーガールの合図と共に始まった演習試験。私の演習試験のステージは住宅街。プロヒーローである相澤先生相手に直接対決は個性の件も含め分が悪い。となると選択肢はステージからの脱出。でも、それだって決して簡単ではない。相澤先生の前では私は少し力の強いただの女の子。相澤先生の視界に入ってしまえば相澤先生の体内の酸素を奪う前に個性を消されてしまう。けど、相澤先生とやり合う機会なんて早々ない。自分の力がプロヒーロー相手に何処まで通用するのか試してみたい。
「…はあ、お前は絶対そうだと思ったよ。」
電柱の上に立つ相澤先生と早速遭遇した。個性を使おうとするがやはり相澤先生の個性で私の個性は消されてしまう。
「お前は自分の個性に絶対的な自信を持ってる。その自信は時として身を滅ぼすぞ。」
「…そうかもしれないですね。でも、私、ずっと退屈してたんです。」
生まれて十七年。未だに敗北を知らない私。自分の力が何処まで通用するのか試したい。
「相澤先生は私の事、楽しませてくれますよね?」
伸びてきた相澤先生の武器を交わし、相澤先生との間合いをつめ、攻撃に出るが、私の拳は相澤先生に当たらない。でも、それでいい。相澤先生の個性は凄いけど、弱点がない訳じゃない。瞬きのその一瞬、それを捉えればいい。