第4章 退屈な日常
「日菜子、なんか今日は機嫌いいね。」
「そう?」
「爆豪が職場体験行って教室来なくなってから死んだ魚みたいな目だったのに。」
爆豪くんが職場体験に行ってから確かにつまらないとは思っていたけど、死んだ魚みたいは目はあんまりだ。
「昨日、維兄の所に行ってきたんだけどね、」
「ベストジーニスト?」
「そうそう。そしたらね、ジーニアスに爆豪くんがいたの。髪の毛八・二にセットされて、ジーンズ履いてさ、」
昨日の爆豪くんの姿を思い出し、私は笑った。
「…日菜子さ、爆豪くんの事好きだよね?」
「爆豪くんいると退屈しないしね。私にあんだけ毎日コテンパンにされてんのに、全然諦めないで挑んできてくれるし、ワクワクしちゃうんだよね。」
「いや、そうじゃなくてさ、異性として気に入ってるよね?」
「それって、私が爆豪くんの事好きって事?」
「違うの?」
「んー…分かんない。」
今までヒーロー目指して一直線で、恋とかそういう事には無縁だった。まず、私より強い人がいない。プロヒーローが相手なら、私でも負けてしまう事はあるのかもしれない。でも、正直言って、プロヒーロー相手でも負ける気はしない。多分、私に勝てるのは相澤先生だけじゃないかな?あ、あとオールマイトにも勝てる気がしないな。まあ、そんな感じで生まれてこの方負け知らずなもんだから、私を女として見てくれる異性がいないから恋なんてした事ない。私も自分より弱い…というか、闘志のない人間に興味はない。
「恋かあ…どんなのなのかな?よく分かんないや。」
「基本日菜子他人には興味ないもんね。」
「うん。」
だから爆豪くんは私にとって特別だった。初めてこの人いいな、と思える異性だった。いや、爆豪くんが女だったとしても、私は爆豪くんを気に入っていただろう。だから多分、私のこの気持ちは恋愛とかそういうのじゃないと思う。