第3章 爆豪勝己の憂鬱(爆豪視点)
雄英体育祭、優勝こそはしたものの、納得のいかない結果だった。
最終種目、決勝戦最後のあの局面で半分野郎は個性を使わなかった。事もあろうか、奴はあの場面で試合を放り投げたのだ。そんな奴相手に勝って手に入れた一位なんてなんの意味もねえ。俺が欲しかったのは完膚なきまでの完璧な一位だ。
そして、入学当初からムカつくクソ女。クソ女は雄英ヒーロー科の三年で、去年、一昨年と雄英体育祭で一位になった奴。クソ女は今回の雄英体育祭でも優勝し三連覇を成し遂げた。
そんなクソ女は表彰式を終え俺の前に現れた時、ボロボロの姿だった。俺は普段クソ女に傷一つ付ける事も出来ねえのに、三年相手だとクソ女でも怪我をするんだと思った。だって、去年、一昨年の雄英体育祭でもそんな怪我してなかったじゃねえか。クソ女の怪我に不覚にも俺は少なからず動揺してしまった。去年、一昨年と涼し気な顔であっさりと優勝してしまったクソ女。入学したらコイツをぶっ倒したってプロヒーローになる前の最初の踏み台としてやろうと意気込んでいた。なのに、何だってんだ。俺じゃねえ奴に怪我なんかさせられてクソが!だか、それはつまり俺はクソ女所か、他の三年が相手でも、俺は相手にならねえって事だ。俺より強い奴が上級生にはゴロゴロいるのかと思うと余計腹立たしかった。
クソ女が出場した雄英体育祭三年の部がどんなもんだったのかと思い、家に帰ってすぐ録画したソレを見た。三年っていうだけあってどいつもこいつも一年とは比べ物にならないくらいスゲー奴ばっかで、それを素直に凄いと感じてしまった自分にムカついた。スゲーじゃねえだろうが!俺はコイツら全員ぶっ殺して雄英で一番になるんだ!そう思い直したのに、三年の最終種目を見て、俺は言葉を失った。実質クソ女対三年全員という圧倒的不利な状況。校長正気かよ。そう思った。それなのに、クソ女はいつものようにムカつく笑みを浮かべ、ハンデを諸共せず、最後までステージに立っていた。こんな競技内容にも関わらず、あれだけの怪我で済むなんて化け物かよ。コイツには一生勝てる気がしねえと一瞬思ってしまった。クソが…っ!