第2章 日常に融けゆく
「お前、顔どうしたんだよ?」
「え?赤くなってる?もう、爆豪くんが強く抓るから、」
「ちげーよ!額ん所だ馬鹿!」
そういえば、本選で巨大化した丸田くんに思いっきり叩き付けられたからな。大した怪我じゃ無かったし、リカバリーガールの所には行かずそのままだった。
「さっき本選でちょっとね。」
そう言うと、爆豪くんは舌打ちをして、私の額に手を伸ばした。
「お前を倒すのは俺なんだから、他の奴に怪我なんかさせられてんじゃねーよ。」
「心配してくれてるの?」
「どうやったらそう聞こえんだよ!」
「ありがとう。」
「違うっつってんだろーが!」
目付きも態度も悪いし、言葉遣いも乱暴だけど、爆豪くんと共に過ごしていく時間が増えるにつれ、爆豪くんはただの乱暴者じゃないと私は気付いた。常に上を目指す真面目で勉強熱心な子。ぶっきらぼうだけど、ちゃんと優しさも兼ね備えてる。
「爆豪くんはお利口さんだね。」
爆豪くんの頭に手を伸ばし、その頭を撫でると、爆豪くんに手を叩かれた。
「触んな!」
「照れちゃって可愛い。」
「照れてねえ!」
爆豪くんも最終種目に残った。それを聞け満足した私は怒る爆豪くんに別れを告げ、三年のステージへと戻った。