第2章 日常に融けゆく
『タイムアップ!』
先生のその声により終わりを告げた二人三脚。私とアキちゃんの手には合わせて十一のハチマキ。勿論、元々持っていたハチマキも奪われてはいない。
『一位、筒井&鷹見チーム!』
「思ってたよりハチマキ取れなかったねー。」
「何言ってんの、充分よ。」
最終種目への出場権は上位五チーム。例年通りなら、最終種目は一対一のガチバトル。くじ引きで対戦相手を決めるから誰と当たるかは分からない。同じクラス同士との組み合わせになったりもする。まあ、人数少ないし、そこは仕方ない。でも、アキちゃんと当たるのだけは嫌だな。アキちゃんを怪我させるのは嫌だ。でも、手を抜くと凄く怒られるし。まあ、それは当たった時にどうするか考えよう。
「…取り敢えず、ごはん。」
朝から個性使いまくりで疲れた。ご飯食べたら時間ギリギリまで寝よう。休憩終わってすぐに最終種目始まる訳じゃないし。
「日菜子、一年の所行くんでしょ?」
「え?」
「あんだけ相手してあげてたんだから、てっきり休憩時間は爆豪の所に行くんだと思ってたけど…違うの?」
そっか、休憩時間なんだし、他のステージに行っても問題はない。私はカレーを急いで口の中に流し込んだ。
「…行ってくる!」
爆豪くん、最終種目残れたかな?…まさか予選落ちとかないよね?てか、会いに行ったらウザいって怒られるかな?まあいいや。別に怒られても気にならないし。そう思い、一年生の体育祭のステージへと足を早めた。