第2章 日常に融けゆく
「筒井さん、鷹見さん、逃がさないよ。」
そう言って遥か上空へと逃げた私達を追ってきたのは同じクラスの丸田くん。個性『巨大化』。
「ここまで飛んできてもやっぱり丸田なら届いちゃうよねー。」
巨大化もヒーローとして活動出来る範囲は狭いけど、いい個性だよね。でも、
「体は大きくても、人間が酸素が必要な事は変わりないから。丸田くん、苦しくなると思うけど、ごめんね。」
そう言って私は丸田くんの周りの酸素量を一気に増やした。それによって引き起こるのは過呼吸。
「丸田!叩き落とせ!」
荒くなる呼吸の中、振り上げられた丸田くんの手によって、私とアキちゃんは叩き付けられた。体に走る激しい衝撃。私とアキちゃんは地面へと真っ逆さま。
「アキちゃん!」
「…っ!日菜子ごめん!」
再び翼を広げたアキちゃんのおかげで地面に叩き付けられる事は無かったけど、今のは結構効いた。そして、地面に着地した私達の上に過呼吸で苦しむ丸田君が降ってきた。
「丸田くんごめん!」
下敷きになるのは勘弁。そう思って、丸田くんの体を衝撃波で吹き飛ばした。それにより丸田くんの下敷きになった生徒数名のハチマキを奪った。
「日菜子右!」
「はーい。」
アキちゃんは鷹の目を持つ。広いその視界は、私の見えない部分も補ってくれる。死角から飛び出してきた相手を衝撃波で吹き飛ばす。
「…くそ!お前ら本当最悪なコンビだよ!」
「それ、最高の褒め言葉。」