第2章 日常に融けゆく
「取り敢えず今日はここまでにしようかー。」
時刻は午後六時。授業が終わってから二時間休憩無しの攻防。アッサリ決着がついたら面白くない。そう思って私は攻撃に個性を使わなかった。まあ、そのせいでだいぶ私も疲れたけど。
「ふざけんな…!俺はまだやれる!」
「やり過ぎは良くないよ?雄英体育祭まであと二週間あるんだし。」
「つーか!お前個性使えよ!手加減のつもりか!?」
「うん。」
違うと言ったって爆豪君が怒るのは目に見えていた。ならわざわざ嘘なんかつく必要はない。そう思って正直に爆豪くんの言葉にイエスと答えたが、案の定爆豪くんは腹を立てた。鬼のような形相とはまさにこの事だ。
「毎日毎日そんなに怒って疲れないの?カルシウム足りないんじゃない?」
鞄からカルシウムを多く含んだウエハースのお菓子の袋を一つ取り出し、爆豪くんに渡そうとすると、いらねえ!と一声あげ、お菓子は叩かれ地面に落ちた。私は落ちたお菓子を拾い、封を開け、食べた。
「私に個性使わせたいなら早く強くなってよ爆豪くん。」
「あっという間にお前なんか追い抜いてやらあ!」