第2章 日常に融けゆく
HRが終わり、一年生の教室へと向かった。確か爆豪くんは一年A組、相澤先生のクラス。そして、向かった一年A組は何故か人だかり。これじゃあ教室に入れそうもない。嗚呼、どうしようかな。なんて考えてたら聞き慣れた声が聞こえた。
「意味ねェからどけモブ共。」
其の人だかりを〝モブ〟と一括りにする爆豪くん。そういえばうちのクラスでもモブとか言ってたな。
「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなあ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「ああ!?」
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。
普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんた。知ってた?体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆も然りらしいよ…。」
うん、その通り。現に私のクラスには普通科から編入してきた子もいる。
「敵情視察?少なくとも俺は調子のってって足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり。」
爆豪くんにそう話し掛けたその子の言葉に、私は思わず頬が緩んだ。何それ、普通科からの宣戦布告とか超面白い…!いいな、爆豪くん。
「隣のB組のモンだけどよぅ!!敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!!エラく調子づいちゃってんなオイ!!!本番で恥ずかしい事んなンぞ!!」
騒ぎ出す生徒達。その彼らの様子を見て私は興奮した。こういう雰囲気、私、好きだな。
「待てコラ!どうしてくれんだ!おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねえか!!」
「…関係ねえよ…。」
「はあ──!?」
「上に上がりゃ関係ねえ。」
そう言って人混みを掻き分けてきた爆豪くんと目が合った。
「…何ヘラヘラしてんだクソ女。」
爆豪くんのおかれた状況が羨まし過ぎて、それが顔に出てたらしい私はにやけてたらしい。
「それじゃあ行こうか、爆豪くん。」
「え?なんで、アイツが三年の筒井さんと一緒に!?」
人だかりからそんな声が上がった。