第3章 こたつでミッチョン進行中
「ど、どうしたの?」
ショウくんが大きなお目目をパチパチさせた。
「あのね、ケーキなんだけど、僕のパパが作ってくれるって…」
「えっ、カズくんのパパって”パチチエ”っだったっけ?」
「ちがうよ? でも作ってくれるの」
パパ、お約束してくれたもん。
「サトくんチョコのケーキが好きなんだよ? そんなの作れるの?」
ジュンくんはきっといじわるを言ってるんじゃないって分かってるけど、僕はなんだか悲しくなってきて…
「出来る…言ったもん…。パパ、約束…したも…」
僕はお目目から流れてきた”お湯”みたいに熱い涙を、スモックの袖でゴシゴシと拭いた。
「あ~あ、カズくんすぐ泣くんだから…」
ジュンくんが息をハァ~と吐いた。
「カズくん、泣かないで? ケーキはカズくんのお父さんにお願いするよ。いいかな?」
「ジョ…ぐ…。ありあと…」
ショウくんは優しい。
と~っても優しい。
サトくんがショウくんを好きな気持ちが、少しだけ分かった。
「ジュンくんもいいよね?」
「ショウくんがいいなら、僕もいいよ」
ジュンくんはショウくんの言うことなら聞くんだ。
ずるいよ…
「カズくんのお父さんが作るケーキ、楽しみにしてるね?」
「うん!」
ショウくんがパパのケーキを楽しみにしてくれることが、とっても嬉しくて、胸が少しだけポカポカするのを感じた。