第3章 こたつでミッチョン進行中
一方その頃ジュンくん家
「ママ~、コレ少し貰ってもいい?」
ドレッサーの前で、髪の毛の先っぽをクルクルと巻くママが、鏡の中から僕を見た。
「そんなのどうするの?」
僕が手に持っていたのは、ママが最近お気に入りのキラキラした、シールみたいなのがた~くさん入った箱。
ママはいつもそれを、綺麗に塗った爪に貼っている。
「あのね、今度の土曜日ね、サトくんのお誕生日なんだ」
「あら、そうなの? じゃあプレゼント用意しなきゃね?」
ママが髪の毛クルクルを止めて、お財布を手に持った。
「あ、あのね、プレゼントはね、いらないの」
「あら、どうして? サトくんがそう言ったの?」
椅子に座ったまま、ママが僕を振り返った。
「違うよ? ショウくんと、カズくんとお約束したの。僕達でお誕生日会をしてあげよう、って。だからプレゼントはいらないの」
「そう? で、お誕生日会はショウくんのお家でするの?」
「ううん。カズくん家だよ? あのね、サトくんこたつが好きなんだ」
僕が言うと、ママが頭の上に”?”をいっぱい浮かべて笑った。
「ねぇ、ママ~、これ…」
僕はキラキラが入った箱を振って見せた。
「いいわよ。でも、何に使うのかだけ教えてくれる?」
僕はショウくんが書いてくれた紙をママに見せた。