第25章 こたつ片付けなきゃね
自転車の子乗せに和を乗っけて、サドルに跨った。
「しっかり掴まってろよ?」
「あいっ!」
和の小さな手が、子乗せのハンドルをギュッと握った。
「よぉ~し、出発だぁ!」
「おお~!」
俺は全力でペダルを漕いだ。
途中で玄関の鍵をかけ忘れたことを思い出したけど、そんなことはもう気にしない。
…って、前にも同じことがあったような気が…(๑• •๑)?
えぇ~い、今はそれどころじゃない。
急がないと卒園式に間に合わなくなってしまう。
俺は保育園に向かって、ひたすらペダルを漕ぎ続けた。
「ま、間に合った…」
漸く保育園に着いた頃には、整えた筈の髪は乱れ、ネクタイは首の後ろに…って、これも前に…(๑• •๑)?
ま、細かいことは気にしない気にしない♪
とりあえず空いてる今のうちに記念撮影だ。
「和、ちょっとそこ立って?」
和を門の横に立たせて、俺はカメラを構えた。
”卒園式”と書かれた看板の横で、和が少しだけ照れくさそうに笑うのを、俺はカメラに納めた。
「和、もう一枚な?」
今度はカメラをスマホに替えて、シャッターを切った。
「よし、行くぞ」
「あい!」
和の小さな手を取り、下駄箱まで送り込んでから、俺は一人遊戯室へと移動した。