第25章 こたつ片付けなきゃね
大きな失敗もなく子供達の器楽演奏が終わると、今度は手話を使った歌が披露された。
歌を覚えるだけでも大変なことなのに…
子供達が一生懸命に練習している姿を想像した途端、俺の元々緩い涙腺は崩壊寸前だ。
俺だけじゃない、翔くんママも潤くんママも、そしてサトくんママも…、皆ハンカチが手放せなくなっている。
俺は鼻をズッと啜ると、目尻に溜まった涙を親指で拭った。
感動の内に歌が終わり、子供達が一旦遊戯室から出て行く。
そして照明が落とされると、白い壁をスクリーンに見立てて、子供達の園での生活を写した写真が、スライド形式で映し出された。
入園式から始まり、運動会、遠足、毎月行われるお誕生日会、そして季節に因んだ行事…
映し出される写真の数々の、そのどれもに俺達の知らない子供達の姿があった。
ああ…、これ絶対ダメなヤツじゃん…(>_<)
なんとか堰き止めていた俺の涙腺のダムは完全に決壊した。
”絶対泣けるから”
”ハンカチ一枚では足りないかも”
そう言ったママがいた。
うん、ホントその通りだよ。
こんなの見せられたら、ハンカチ何枚あったって足りないよ…
俺は暗いのをいいことに、止めどなく溢れてくる涙を、何度もハンカチで拭った。