第25章 こたつ片付けなきゃね
スライドショーも終わり、照明が点けられると、皆一様にハンカチで涙を拭ったり鼻を噛んだりで…
子供達が再び遊戯室に戻って来たのを見て、慌てて姿勢を正した。
雛壇に並んだ子供たちの前に、マイクを手に園長先生が立った。
園長先生の目も、心なしか赤くなっているように見えるのは、気のせいだろうか?
「本日は皆様お忙しい中…」
ありきたりな言葉で、園長先生の挨拶が始まった。
でも、園長先生には申し訳ないけど、皆それどころじゃなくて…意識は我が子に向いている。
それは俺も例外ではなくて…
俺と目が合った途端、満面の笑みを寄越した和に、俺は膝の上で小さく手を振った。
「いよいよ明日は卒園式です。ここで子供達から、保護者の皆様にお礼の言葉があります」
園長先生が雛壇の横に移動し、子供達が名前を呼ばれた順に保護者席の前に立った。
その手には、いつの間にか小さな花束のような物が握られていて、大きな声でそれぞれ思い思いの感謝の言葉を述べると、それをお母さんやお父さんに手渡していく。
ヤバ…、和にそんなことされたら俺…(T^T)
和の順番が近付くにつれ、俺の心臓がバクバクし出した。
もしかしたら俺、和よりも緊張してるのかもしれない…(>_<)