第1章 こたつ、出しました
「まずは空気の入れ替えからですね?」
和が先に家の中に入り、僕もその後へ続く。
不意に壁に備え付けられたシューズクロークの扉が視界に入る。
夏に来た時は翔君とここで…
(僕らはDreamer 185ページ参照)
僕が汚した痕跡は、当然だけど跡形もなく消えているのに、記憶だけはやけに鮮明で、僕は自然と顔が熱くなるのを感じていた。
「どうしたんです? そんな赤い顔しちゃって。もしかして思い出してるんじゃないでしょうね?」
和が僕の顔を覗き込む。
咄嗟に僕は顔を背けたけど、和の手の方がほんの一瞬早かったみたいだ。
僕の顎が和の手に捕まり、不意に重なる唇。
そのまま壁際まで押しやられ、とうとう逃げ場を無くした僕は、もう成す術もなく…
強引に割って入って来た和の舌の動きにされるがまま、どんどん身体の力が抜けていって…気付いた時にはもう…
「ねぇ、ここで翔ちゃんとしたんでしょ?」
「…して、ない…もん…」
「噓ついたってダ~メ。アンタ達分かり易過ぎなんですって…」
翔君のばか…
しっかりバレてたんじゃん…
「…ごめんなさい…」
って、なんで僕謝ってんの?
「プッ…、別に怒ってんじゃないんですから、謝る必要ないですよ?」
僕のTシャツを捲り上げながら、和の悪戯っ子みたいな笑顔が僕を見上げる。
悪い顔してるよ、和?