第2章 こたつでサミット
翔side
潤から手渡された器から、大根を箸で摘まみ口に運ぶ。
「熱っ! うまっ!」
流石に昨日から仕込んでいたと言うだけあって、大根は俺の口の中であっという間に溶けて行った。
「日本酒は冷? それとも熱燗?」
潤が席を立ち、キッチンへ向かう。
俺は迷うことなく、「熱燗で」と答えた。
潤がキッチンで酒の準備をする間も、俺の箸は止まることはなく、気が付けば俺の横には指を咥える4つの瞳が俺を見上げていた。
「な、なんだよ、お前らも腹減ってんのか?」
『みぃ~みぃ~(メシくれ)』
『キュ~ン…(僕のご飯…)』
確かミーのエサはバッグの中に…
「あれ? おかしいなぁ…確かにここに入れた筈なんだけど…」
ボストンバッグの中身を全て床に出してみるけど…目的の物は見つからない。
「どうしたの? 何、探し物?」
徳利と猪口を乗せた半月盆を手にした潤が言う。
「いや、ミーのエサがさ…確かに預かって来たんだけど…」
「ないの?」
「…ない、みたい…」
どうするよ…?
途方に暮れた俺は、肩をガックリと落とすと、エサが貰えるのを今か今かと目を輝かせるミーの頭を撫でた。
「ごめんな、ミー…」
俺はミーを抱きあげ、膝の上に乗せた。