第8章 こたつでプゼレント製作中
「もう俺帰ります。カズのお迎え行かなきゃなんないし…」
終業時刻はもうとっくに過ぎている。
ノートパソコンの電源を落とし、デスク上に散らばったファイルを纏めると、俺は鞄を手に席を立った。
「じゃ、お先です」
俺は松岡さんに向かって軽く頭を下げると、足早にオフィスを出た。
急がないと…
愛車(ママチャリな?)に跨り、ペダルに足をかけたところで、胸ポケットでスマホが震えた。
誰だよ、急いでんのに…
そう思いながらもスマホを確認する。
そこに表示されていたのは、
「松岡さん? なんで?」
さっき別れたばかりなのに?
俺は首を傾げながらも、スマホの画面をタップした。
「おお、あんなぁ、手紙書いたらどうするか、考えてみ? ポストに入れんだろ? ま、そうゆうことだ。じゃな」
って、言いたいこと言って切っちゃったし…
でも、そうだよな。
ポスト、入れに行かなきゃだよな…
よし!
俺はちょいキー高めの鼻歌を歌いながら、保育園までの道のり、自転車を漕いだ。
でもさ、浮かれてたのはここまで。
カズの一言に、俺は立ち直れそうもないくらい、大打撃を食らった。
だってさ、クリスマスだよ?
たった二人しかいない家族だけどさ、一家団欒したいじゃん?
なのにさ…
「24日ね、僕サトくんのお家でクリスマス会するから」
カズはパパよりも、お友達を選んだ、ってわけね?