第8章 こたつでプゼレント製作中
俺は一旦鍋の蓋と菜箸を置くと、シンクの脇に掛けてあった布巾を水で洗った。
「はい、お願いします」
「あい!」
硬めに絞った布巾を手渡してやると、それを受け取ったカズが嬉しそうに顔を綻ばせた。
ハハ、子供ってマジで単純(笑)
「パパ~、テーブル拭けたよ~」
「はいは~い、じゃあ鍋持ってくから、カズはそこから動くなよ?」
火傷なんてさせたら大変だからね…
「あっ、パパ、アレやって?」
”アレ”って‥σ(๑• . •๑)?
両手にミトンを嵌め、鍋を持ちかけた俺は、カズの言ってる意味が分からなくて、首を傾げて見せた。
「ほら、だるまさん!」
あぁ、アレね?
「よし、準備はいい? 行くよ? だ~る~まさん~が~、こ~ろ~ん~だっ!」
掛け声と同時にカズが動きを止める。
俺はその隙に鍋をテーブルに運んだ。
そして鍋がテーブルに置かれたと同時に動き出すカズ。
「よし、食べよう! はい、お手手合わせて? いただきます」
「いたっきま~す!」
「カズ、何欲しい?」
「んとね~、あちゅあげさん!」
今日の晩御飯は”おでん”だ。
寒い冬にこたつでおでん…最高じゃね?
「あっ、パパ24の日お仕事おやしゅみよね?」
24日は確か…
「その日はパパお仕事だけど…何か予定あった?」
「ううん…、なんでもない…」
カズが急に顔を曇らせた。
俺、カズとなんか約束とかしてたっけ…?