第6章 出会い【ラビ】
でも…
ラビ「黒髪に焦げ茶色の目か。
生粋の日本人って感じがするさねえ)
…ひでえ目に、遭ってきたんだよなあ」ぼそ
そう言いながら頭を撫でると
むにゃっと気持ちよさそうに頬を緩めた。
ラビ「くす)…
可愛いなあ^^」
黒の教団に入ってから、恵土のことを調べた。
人体実験の、唯一の生き残りだと知るのに
そんなに時間はかからなかった。
ベッドに磔にし、高圧電流を流し続けた。
何度も何度も、目覚める度に繰り返される。
それは、クロス元帥が割って入るまで止まることを知らなかった。
ちょうどその時と同時に
イノセンスとも、アクマともいえない
不可思議な『浄化の力』が目覚めた。
それは他者のイノセンスを発動でき、その力を強めることもできる。
イノセンスを体内に入れて、シンクロさせ
咎落ちするまで続ける非人道実験。
それは、生き残り0のはずだった。
それが、在り得ない存在を生んでしまった。
イノセンスに対抗でき、アクマにも対抗できる。
無視できない、あまりにも強大な力に
教団と中央庁は、エクソシストとして居ることを許した。
が、不可思議な現象は続く。
まるで、自分が生み出したものであるように
壊れたものでさえも、壊れる前の状態に戻せる。
生きているものでも、治すことができる。
得体のしれない存在、人間にもイノセンスにもできない。
アクマでもノアでもできないことを、平然とやってのける。
本人も知らない歌
聞いた者への、自然と内から湧き上がる生命力…
まるで分け与えたかのように、込められたエネルギー……
それをやった後、突然の疲労感と転倒………
おそらく、さっき言ってた『癒しの旋律』ってのは
さっきの歌に込められたエネルギーを
聞いた奴の生命力に置き換えて補って
元気を分け与えるって感じの奴だと思うけど…
その謎は―
知れば知るほど、拡がるばかり――
ラビ「…お前、一体何者なんさ?」
そう頬を撫でる中
恵土は未だに、昏々と眠り続けていた。