第5章 出会い【リナリー】
そんな風に伯爵が去っていく中
そこにいたことなど知る由もなく
私は、神田から説明を受けていた。
『建物(無生物の場合)なら、復元できるし
力を送る対象が生きている場合なら、治せるけど…
ウイルスが全身に及ぶかなどして
死んでいては、決して治せず蘇生できない』らしい。
それが、恵土元帥のイノセンスの力。
恵土「ユウの…想いでの、場所がっ;(涙」ふるふる
神田「……しょうがねえだろ。
いつまでもこの世にあるものなんざねえ」
確かにそうなんだけど
この頃から、神田は既に口が乱暴だったのよね;
恵土「!(ぴくっ!)
まだ生きてる部分がある!」
そう叫びながら、着ているものを脱ごうともせず
必死に潜って、バシャバシャと何かを掘っているようにも視えた。
神田「…」
それを、神田は物悲し気な眼で見ていた。
細かくは知らないけれど
二人にとって、ここは大事な場所なんだって解ったの。
でも…
こんなに拡くアクマウイルスが伝搬しているなら
生き残った存在の可能性は…
恵土「あった!
蓮根だけど、ちゃんとあった!
この3本ぐらいしか…
でも、まだ大丈夫だ!
今すぐ本部に戻って
池を作って、絶対この蓮池を復活させる!!」
神田「やるんなら一人でやれ」
恵土「当たり前だろ!やりたくてやってるんだから!!
でも衰弱し切ってる。
ある程度肥料与えて、エネルギーを与えて。
一応内気功鍛えててよかった。
軟気功でエネルギーを送って元気づけることができそうだ」ぶつぶつ
そう言いだして、報告が終わってからすぐ
恵土元帥は本当に、教団本部の森に蓮の池を作り出した。