第4章 出会い【ユウ】
気を許してくれたようにも見えた。
それが、どこか嬉しかった。
恵土「…^^」むにゃ
前の記憶のことを、一度だけ話したことがある。
その時、言ってくれた言葉が…
不思議と夢の中に出てきて、沁み込んでいた。
神田「俺の記憶は壊れてる。
断片的なものしかない。
あの人への『会いたい』という気持ちが止められない。
時々……
俺が、誰なのか解らなくなる時があるんだ」
とある夜
うなされていた時に、零した。
アルマを殺して、あの人に会うために生きることを選んで…
その時の楽しかった記憶も
苦しかった記憶も、辛かった想い出まで…
全てがリアルに思い出されて、悪夢として見て……
それほどいっぱいいっぱいで
どこか、精神的に追い込まれていたんだと思う。
初めてだった。
誰かに、弱音を吐くのも。
それを伝えることも…
恵土「何言ってるの?
ユウはユウだよ」
全部聞き終わってから言われた言葉は
一言に集約されていた。
その言葉の意味を
まだ、その時は解っていなかった。
神田「…は?」
恵土「痛い時は痛いって感じるでしょ?」
神田「当たり前だろ」
恵土「それと同じだよ。
何か思ったり、感じたり、考えたり…
そういう時に、『自分』って存在を感じるんだ。
怒ったり泣いたり、笑ったり楽しんだり…さ。
主観とか、考え方とか、そういったのも人それぞれで違うでしょ?」
神田「…ああ(頷く)
(まあ、そうだよな」
恵土「人それぞれで感情に振り回されやすかったり、理屈っぽかったりもするでしょ?
そういうのと同じで
人ってのは
行動一つで、決まるようなものじゃないって思う。
だからさ…
私は、その人そのものが『その人』って人格なんだって思う。
だからユウ!
それ全部ひっくるめて、ユウなんだよ^^」
凄くシンプルで…
それでいながら……
ちゃんと、俺自身と向き合おうとしてくれていることが
ひしひしと、痛いほど伝わってきた。