第4章 出会い【ユウ】
そしてまた…
イノセンスを巡る道中で
たまたまだが、恵土の故郷に当たる日本人街に行くことになった。
日本にあるものの内、色々と知っていくと…
探していたものがあった。
神田「蓮の…花」
恵土「うん。
ちょうど池があるよ?」おいでおいで
見つけたのは、ただの看板。
でも、どこか懐かしい感覚がした。
誰かと、ここに来たような…
そんな違和感が走った。
そして招かれるままに来てみると…
そこには……
神田「!!!
…何だ、これ」
ちょうど…
あの人との、記憶の中の場所だった。
恵土「ん?
さっきいってた花、今咲いてるね。
ちょうど7月になった時でよかった^^」
神田「……」
その言葉を聞き流したまま、俺は…
あの人との約束を果たせなかったこと。
記憶に出てきた、あの人との笑顔が脳裏に浮かんでいた。
神田「……会いたい」
あれから一年…
戸籍上で言う所、12歳になった。
記憶が目覚めてから、約1年半近く…
それでもなお…
その気持ちに歯止めはなく、ただただ溢れ出してくる。
その絶景に近い、蓮の花の群れに
俺は…
気が付けば、涙を流していた。
恵土「ねえ。
この花、知ってる?」
神田「!」
そんな中でも恵土は…
俺の方を見ずに、いきなり話しだした。
恵土「…蓮華の花」
神田「!!」
あの人と、全く同じ言葉を…
同じ表情で語り出した。
恵土「泥の中から天に向かって生まれて
世界を芳しくする花なんだよ?」
神田「…(つー」
その言葉に…
温かいものが、頬を伝って落ちていった。