第4章 出会い【ユウ】
その日の晩…
あいつは、目覚めることのないままだった。
神田「…なんだってんだよ;ったく」
布団の中で眠りこけてる恵土(元帥が運んだ)を見ながら
一人舌打ちをしていると…
フロワ「…少しいいかい?」
二人きりで話がしたいとのことで呼ばれた。
月夜の晩
旅館にある池のほとりで、話しをし出した。
フロワ「…彼女はね、5歳の時に両親を殺されたんだよ」
神田「は?」
いや、それは聞いたが…
フロワ「鴉という
幼少から鍛え上げられる中央庁お抱えの戦闘部隊。
それらがアクマに扮して、攻撃した。
彼女の父親は、二人を守ろうとして
母親は彼女を守ろうとして、庇って死んでいった。
その直後、襲われた彼女は…
在り得ないことを実現させた」
神田「在り得ない事?」
フロワ「…
イノセンスの中にある『光』だけを
体内に取り込んで出し
寄生型や装備型よりも
遥かに強力な力で部屋を覆い、鴉部隊を気絶させたんだ。一人でね」
神田「…」
フロワ「それが中央庁の目に留まった。
どんなイノセンスでも、その力を引き出すことができる。
ならば、それを体内にいれても咎落ちしないのでは…
それが実現さえすれば
もっと凄い兵器を手に入れることができると……
そうやって、彼女を実験体にした。
イノセンスを体内に入れてからは、もっと地獄だっただろうね。
両親を殺された誕生日の夜からすぐ、体内にイノセンスを入れられた。
それからは…
力が発現して、高圧電流を跳ね返せるようになるまで流され続けた。
握手をした時、見えただろ?」
神田「!!」
その時、脳裏に浮かんだ。
未だに残り続ける傷跡…
それは手首にだけ深く残った、赤く爛れた跡のように見えた。