第20章 終焉
恵土『これは…ラースラの記憶?』
「私の弟です!」
(…は?)
耳を、疑った。
突如として響いてきた声の主は…
先程、俺が体当たりした女性だった。
警官「え!?
なら、これまで奪ってきたものは」
「はい!私が弁償します!」
胸に手を当てながら、叫ばれた。
「ふざけんな…」
そう呟く俺をよそに、話を進めてから
頭をひたすらに下げる女と警官を睨んでいた。
そして警官は
やっと目の上のたん瘤が取れたかのような顔を向けてきた。
警官「家族がいるならそう言いなさい」
「私の弟がすみません^^;(ぺこぺこ」
警官がそう言って去って
見えなくなってから、やっと女が俺の方へ向き直った。
その直後、俺は叫んだ。
「誰が、そんなこと頼んだ?」
向けてくるのは、いつも…
(可哀想に)
(居場所がないんだよ)
(こっちへおいで)
(いいことしたな)
(人助けなんて、表面だけだよ。
配給増えるってだけで飼ってやってるだけだし)
どいつも、こいつも!!(ぎゅ)
上辺だけの、詭弁ったらし野郎だろうが!!!
「余計なお世話なんだよ!!」
そう叫ぶと
「大丈夫」
「…え」
かけられたことのない言葉に
その温かな抱擁に、優しく撫でられる感触に…
俺は、固まった。
「大丈夫だから^^」
向けてこられる眼は…
今までの、どの目とも違ってて…
「っ…(ぎり)
何で、だよ。何で…!!」
「あなたが、優しい人だから^^」
「…っ」
その微笑に、
涙が、滲んできた。
「………
ああああああああ!!;」
居場所を、失くした。
勝手な戦争で、争いで…
イノセンスという武器ができてから、争いは激化する一方だった。
全てが、憎かった。
許したくなかった。
でも…この時だけは
「うああああああああああっ!!!」
死ぬほど嬉しくて、何年かぶりに泣き叫んだ。
突如として現れた救世主…
名は、トゥルー。
俺の名は、ラースラ。
当時、10歳…トゥルーは18歳
運命の、出会いだった。