第20章 終焉
ついでに言うと、恵土の方は…
ロード「…目覚めてきてるね。
恵土の中の、ラースラが」
そう呟く中、ラースラの気配が濃くなった。
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夢の中、最初に見えたのは…
周囲に横たわる人の死体、折り重なるような血の海
そして
街があったのか、瓦礫ばかりが散乱していた。
『許スナ』
その声と同時に、両膝を抱えながら…
ただただ、真っ直ぐ前を睨み据えている小さな子供がいた。
塵が舞う中、彼は走り
生きていくために、町へ移動した。
俺は戦争孤児だった。
その町の生き残りは、俺一人しかいなかった。
身寄りのないそれに…
無論、風当たりは厳しかった。
厳しいなんて通り越して…生きることが辛く、苦しかった。
それしか、知らずに生きてきた。
どんっ!!
体当たりして背を押して、よろけた瞬間
俺はいつものように、相手が落とした荷物を奪って走り去った。
警官「こら!!」
すぐ近くに、見廻りしていた警官がいて
すぐ捕まった。
警官「またお前か!!」
いつものように向けられる目。
それは…見下げるような蔑んだ眼だった。
向けられるのは、いつもそうだった…
蔑む奴、利用しようとする奴、暴力を振るう奴、暴言をぶつけてくる奴…
ろくな奴なんて、この世には一人としていなかった。
その直後、両肩を掴まれて声が響いた。