第18章 真実【トゥルー】
『こいつが言ったことにしようぜ!』
『そうだな!それで怒る人間なんて、いないんだし』
自分の意思や主張など、全く受け付けない。
相手が自分を見て決めた認識を、他に植え付けては拡げて
向き合おうともされなかった。
その上で、そういった言葉だけを投げかけられ続けてきた。
母上「気が優しいから
否定して、それで相手を傷付くのを見たくなかったんでしょ?」
幼恵土「…うん;」
母上「それで何も言い返さないっていうのはあれだけど…
そういう風に、ちゃんと考えて我慢した。
反撃したり、傷付けたり
そういったことは誰でもいつでもできる。
あぁいったように
何気なく、言葉を語ったりしてね。
それは十分誇っていい。
されたことをやり返して傷付けるのは、誰でもできる。
でもね…
あなたはちゃんと考えて、止まることができる。
純粋過ぎる、いい子(なでなで)
でも、これだけは覚えておいて。
誰か、一人だけもでいい。
本当に信頼できる…理解して欲しい人に、話しなさい」
ばれてから、気付かれてから…
されてきたこと、辛かったこと
話したかったことを、たくさん話した。
その時…
褒められたのを、かすかに覚えてる。
『これは難しい問題。
一人だけで解決できるものでもないし
言われたからといって、すぐ変えられるものでもない。
生きている限り
一生、向き合わなければいけない。
理不尽にされた出来事と、それによる感情の狭間で
それでもなお、大切だと思える。
守りたいと思える。
その個性は、本当に大事なものだけれど…
どうか…自分を、潰さないでね』
そう、眠りにつく前
涙ながらに言われた母の言葉が、脳裏によぎった。