第18章 真実【トゥルー】
ジョイド「…お前といて、嫌な事なんてねえよ。
お前は、誰にも話さなかった。
辛い過去までは話しても、理解して欲しいことまでは押し殺してきた。
でも…
本当は気付いて欲しかったんだろ?
手あたり次第でも八つ当たりしたかったのを
必死に押し殺してまで守ったのは
それがあるのが当たり前じゃないって解ってたから
自分でそう考えて、決めたんだろ?
そこまで実行できる奴なんざ
世界中探しても、そうはいないだろ。
お人好しもそこまで行くと、本物だ」にっ
そう笑いながら
ぽんぽんっと軽く叩くように撫でるジョイドに
恵土「…?」
私は、?を浮かべていた。
何が言いたいのか、解らなかった。
ジョイド「…
すんげぇ、立派だよ」
その瞬間、時が止まったように感じた。
恵土「!!」
それに気付かれないまま
一拍おいて、我に返った時にかけられた。
ジョイド「人として、そこまでできる奴は見たことがない。
そんなお前といて、楽しくないわけねえだろ」きっぱり
恵土「………立派?」
ジョイド「?ああ」
恵土「私が?」
ジョイド「?お前以外に誰がいるんだ?」
恵土「……っ…(ぎり」
その瞬間、脳裏に浮かんだのは…
『お前がいるせいで、怒られたんだろ』
『いなきゃいいのに』
『来んなよ、死ね』
『話しかけてくんな』
『きもいんだよ』『きしょい』
『消えればいいのに』
『産まなきゃよかった』
『情けない』
『ぱっぱと死ねばいいのに』
人から、理不尽に言われ続けて
否定さえも許されず、怒りも哀しみも
話すことさえも拒絶された言葉だった。