第18章 真実【トゥルー】
恵土「もうとっくの昔に、壊れていた。
自分という存在も
周りを傷付けないために、憎まないために
人とが触れ合うことで生み出される闇を、これ以上増長させないようにするために…
誰かを憎んで、傷付けるのが苦しかったからっ;」涙
そう、打ち明けると
クロスの声が聞こえた。
クロス「全部が人のために置き換わっていったのは
もともと持ち合わせた優しい心「だけ」じゃない。
そういった環境も相まって、変わっていったんだ。
死んだ方が、よほどいいとさえ思ってしまう様に。
死ねば相手が苦しむなども含めた、死ぬ事による苦痛…
それらを差し引いても
自分にかかる「死」そのものが、自分にとっては一番の「希望」になってしまったんだ。
恐怖となる象徴が、希望に置き換わるほど追い詰められてたんだろう。
それでもお前は、何度でも言ってたんだ…
『大丈夫だよ^^』ってな。
心配かけちゃいけない。迷惑かけちゃいけない。消えなくちゃいけない。
生まれてきちゃいけない存在だった。生きることそのものが苦痛でしかない。
人と関わることで教わったのは、それらだけだった。
希望がないまま生きるのは、死んでいるのと同じだ。
死んだまま生きなければいけないと強要されるほど、手痛い苦痛はない。
消えてしまいたい気持ちは、いつまでもはびこり続ける。
根底に刻み込まれた傷は、あまりもの深さに治ることさえままならない。
楽しい想い出で忘れられたとしても、それは一時に過ぎない。
何度も殴られ、蹴られ、傷付けられ、罵倒され
それが日常で、それが全てだった。
親からは愛情を注がれてはいるが
気付かれたのは、助けられたのは、傷が完治しないほどに凄惨なものになってからだった。
だから余計に…だろ?
1年も治すのにかけやがって
俺がフロワに怒られただろうが」溜息
恵土「う;ごめん;」しゅんっ