第17章 誕生日パーティー
どくんっ!
それを見た瞬間、胸が高鳴った。
「あの人に会いたい」という気持ちが高ぶった。
『待ってるね…
ずっと、待ってる』
あの人の言葉が、胸の内に反芻し続けた。
それがいつも、俺を駆り立てた。
あの人に、会いたいと…
だが…
今あるのは、それだけじゃない。
隣にある温もりに手(右手)を伸ばすと…
その手を、いつものように握ってくる存在がいる。
あの時から、一つだけだったはずだった。
生きる道も、生き甲斐も…
その中で、こいつは与えてくれた。
泥の中から、一つだけだったはずの道が
蓮の茎のように、途中からいくつにも拡がって…
天という、「光」へ向けて真っ直ぐに伸びていく。
お前は…その光なのかもしれないな。
濁りに濁った、穢れ切ったこの世界の中で…
俺を、違う世界へ引っ張り上げてくれた……
たくさんの感情を、再び抱かせてくれた。
バカみたいに笑って、怒って、喧嘩して
時には苦しんで、泣いて…
色々な見方があって
その中で見えるお前は、とても美しかった。
恵土『ほら早く!^^』
そう笑いながら俺を引っ張って走る恵土に
俺は、それを見ながら思っていた。
まるで…太陽のようだと。
お前に出会ってから…
俺は救われた。
少なくとも、「道は一つだけではない」と教わった。
もう一つの、大事な存在――